豆腐ねぇ。

2004年7月31日
ひどく体が重い。加速してるかな。まぁいいや。

夢を見た。ストーリーをはっきりと覚えてる。
こんなにはっきり覚えてるのは最近珍しい。

何もないような場所にいた。
JR新宿西口を少し都庁へ向かったところ、UFJ銀行の角あたりだ。
そこには色々あるんだけど俺には何もないのと同じ意味だった。
本棚。ビル。池。海かな。アリの巣の穴。作ったような街路樹。
全部の大きさは均一になった。
なんでもある感じだけど、誰もいないみたいだった。

不安になった俺は、豆腐の中に入った。
目の前にあったから。

なんの抵抗も感じず、するっと豆腐に入った。
濁った白い場所だった。
何も無かった。
怖くなった。
だから俺は目の前にある豆腐に入った。
入るときは安心だ。

なんの抵抗も感じず、するっと豆腐に入った。
濁った白い場所だった。
何も無かった。
怖くなった。
だから俺は目の前にある豆腐に入った。
入るときはやっぱり安心だ。

何度か繰り返した。
絶望にも希望にも近づいてる気分だった。
あるいは交互だったのかもしれない。
どっちにしても俺の不安は膨らんだ。

そうか、戻ればいいんだと思った。
振り向いたら水平方向に滑らかに伸びた穴があった。
そこに入るのをためらった。
穴の向こうからなんか音がする。
向こうが魅力的だった。

その音が携帯電話から出ているのに気付いた俺は、枕元の電話を取った。枕元に電話を置いて寝るなんて珍しい。

電話の主は、小母だった。
3年かな、一緒に暮らした事のある、一人暮らしの小母だ。
俺が東京にいた頃は年に数回寄ってくれた。
妻に最初に会った家族は小母だ。

今は近所に住んでいる所為で、逆に接触の機会が減っている。
お互い用事が無い時は電話もしない。
とてもさばさばした女性だ。俺はそういう所が好きだ。

小母の電話はいつもあっさりしている。
用件以外、ほとんど話さない。
しかしいつも「元気か?」と聞いてくれる。
俺は本当でも嘘でも「うん、元気」と答える。

そんな小母からの電話が鳴っている。
電話を取った。

「はいもしもし。どした?」
「元気?」
「うん、元気。かな。今起きた」
「ああ、そう。元気なら良かった」
その後、俺の両親の旅行について少し質問された。

俺はもう一度寝た。
同じような夢を見た。
今度は豆腐の中で身動きが取れない。
滑らかな穴の向こうを、俺は覗かなければならない。
「連続定規」という道具が無くて困っていた。
それが無いと、覗く意味が無いようだ。

そうしたらまた、穴から音が鳴った。
今度は俺は、それが電話だと知っていた。

「はいもしもし」
「電機屋ですが、ピアノの配達時間が12時になります」
「分かりました。お願いします」

そして今、ブログを書く俺の目の前に、確かにピアノがある。
小母からの着信履歴も確認した。

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K

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